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東南アジアの旅(4)〜北タイ文化の中心地〜

<タイ>

(第六日目)
出発が午後1時で時間があったので早川氏とふたりホテルの隣にある象乗りが体験できる場所に行った。象に乗って山を一周すると2時間以上かかるというので我々は交渉して1時間の象乗りを体験した。象は想像したより大きく、上から見下ろすとあまりの高さにびっくりさせられた。
いろいろ経験したラオスをあとに次の目的地タイのチェンマイ/Chiang Maiに向かった。

チェンマイはタイの京都と言われ、タイ文化の中心地で魅力的な都市であり、世界からの旅行者も多い。農業や手工芸などの伝統産業が盛んでホテルや寺院・史跡が多く観光スポットでもある。街は往年の城壁の名残を伝える壕と壁に囲まれまさに日本の京都のような風情が感じられた。19世紀公判にバンコク王朝に併合されるまでチェンマイは王国の首都として政治・文化・産業の中心であった。早川氏はこのチェンマイに住み美味しいタイ米(もち米)を使ってあられなどの米菓を製造している。

彼の工場に立ち寄ってから街の中心にあるワット・ジェットヨート/Wat Chet Yotを先ず見学した。ラーンナータイ王朝の最盛期に築いた15世紀の寺院が建ち並び、七つの尖塔があり多くの僧侶が訪れると言う。次にワット・プラシン/Wat Phra Singを訪れた。北部最高の格式を誇る寺院でプラシン仏像が納められている。この仏像はセイロンから来たものであり、何度も盗難の危機に直面したと言う。外壁は金塗りで内壁の壁画は重要文化財に指定されている。美術家にとっては最高の傑作といわれ、装飾の数々は他に類を見ない素晴らしいものである。少し休憩の後、ワット・チェディールアン/Wat Chedi Luangを訪れた。この寺院は一時エメラルド仏像が奉納されたお寺として有名である。本堂の背後にレンガ造りの巨大な仏塔があり、高さ約60mである。一時は大地震で半壊したが今は修復され立派な仏塔として地元民に慕われているお寺である。

 

チェンマイの見学を終え、昼食はタイ料理を堪能し、その後チェンマイ郊外に住む日本人デザイナー佐藤宇三郎氏の住居兼アトリエを訪問した。佐藤氏のアトリエは想像をした以上に大きく7棟の建物が広大な敷地に建てられ、特に中心の建物には木製の仏像が置かれ、毎日お祈りをして心を穏やかにして仕事に打ち込んでおられるという。我々がお邪魔したときには最大限に接待していただいた。山の中の静かな佇まいで空気も美味しいし、小鳥のさえずりはおそらく佐藤氏の制作力を高めているのではないかと想像させられた。まさにうらやましい限りである。私も返礼に佐藤氏を始め数人の人たちの治療をしてあげた。この夜は今回の研修旅行の最後の夜なので早川氏とふたりで、タイ料理で有名なレストランで、タイの伝統音楽を聴きながら、満ち足りた気持ちで美味しいビールとタイ米を堪能した。

 

 

今回の東南アジア三国の旅は想像していた以上に意義あるものであった。ミャンマーは出発前、軍事政権であるため非常に危険であると外務省からも注意が促された。しかし現実に訪れてみて驚いたのがミャンマーは日本の50年前を彷彿させる何か懐かしさと愛着感があり、国民も貧乏ながらもみんな明るい顔で働き生活していた。こんな状況を見ると何が危険な国であるかを私には理解できなかった。もう一度訪れたい国である。
次のラオスは何かミャンマーや以前訪れたカンボジアと共通するものがあり、格差社会の中で必死に力強く生きている人間の生命力を感じた。それに比べタイは東南アジアの中で唯一他国に占領された経験がなく、王朝制度を守り続けた結果、今日のような発展を遂げた。
三国それぞれの特色を生かしながら現代社会を力強く生き続けている。

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