特にエルカスティージョ(クルルカンのピラミッド)は有名で春分と秋分の日に九層の神殿の影が蛇頭をしつらえた中央階段の側面に羽の形となって写し出され、太陽の傾きによって変化をするその影はまるで蛇が動いているかのように見えるという。
このピラミッドの頂上でいけにえの儀式が行われたというから驚きである。ここへ来る途中バスの中で当時の状況を再現した、メル・ギブソン監督の映画『アポカリプト』を見ていたので聖地に訪れた時は、まるでタイムマシンに乗ってきた錯覚さえ覚えた。この土地も湿潤地帯で川は無く、降った雨は地中に染み込んで地下の空洞に溜まる。その空洞の上の地面が陥没してセノテができたという。ともかく神秘性の残る遺跡群であった。
チチェン・イッツアからバスで3時間以上かけて次の訪問地カンクンに向かった。以前にもカンクンを訪れたかったが、その時はスケジュールが合わなくてバハマに切り替えたことがあったので、今回の訪問は夢が実現したのでうれしかった。カンは「蛇」、クンは「巣」いわゆる蛇の棲み処という意味で、ここは小さな島であったものに橋をかけて1つの半島にした。1970年頃より海に汚水を流さないようにしてきれいにして、リゾート地として発展していった。カンクンをもっとも有名にしたのは1981年のカンクンサミットである。何しろ海岸線が20km続き、ホテルゾーンという名称で呼ばれる地域には世界の高級リゾートホテルやレストラン、ショッピングセンターが立ち並んでいて、何か別世界に来た思いをした。
(7日目)
朝8時過ぎにホテルを出てカンクンから2時間半でマヤ終焉の地でカリブ海に面したトゥルムに着いた。海を臨む断崖に造られたこの遺跡は規模は小さいが13世紀から15世紀の状況を垣間見ることができるものだ。ただカンクンから近く、まるでディズニーランドのような娯楽施設が造られていた。この遺跡でも大きなイグアナを見ることができた。
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